Strawberry on the shortcakes
10
『柊ちゃん』
…………結?
『柊ちゃん』
結だ
結がキッチンに立って
オレを呼んでる………
『ねぇ、柊ちゃん
このビン開かないの~』
イチゴジャムのビンのフタに手をかけて顔を真っ赤に歪ませながら結が頑張ってる
「………っぷぷ」
真っ赤な結の顔がおかしくて
思わず吹き出して笑うと
『あ~!なに笑ってんのぉ
柊ちゃん~!』
「ごめん、ごめん」
笑いながらキッチンに入り
結からビンを受け取って
フタに手をかける
どれだけ固いのだろうと
力を入れて回してみると
カポッ……
すごく簡単に開いて
「結~!全然簡単だろ?」
そう言って結の顔をヒョイとのぞき込むと
『え~?』
うそぉって眉をしかめてジャムのビンを受け取り
『柊ちゃんが力もちなんだよ』
スプーンで一さじジャムをすくった結に
「なににジャム使うの?」
『ん~?カレー』
「はぁっ?ジョーダンだろ?」
あまりの衝撃に
少し後退り叫ぶと
『え~?本気だよ?なんかテレビで言ってたんだ
カレーにイチゴジャム入れたら隠し味になるって』
「あのね~、あまり変な情報に惑わされるなよ」
そんなカレー食いたくないって言ったオレを
いたずらっ子みたいな
目をして笑って
『大丈夫!
美味しいカレーが出来るよ』
不安いっぱいのオレの肩をポンポンたたいて
『ね?柊ちゃんはテレビでも見ながら、楽しみに待っててね………』