Strawberry on the shortcakes
翌日
もちろん、修ちゃんは 朝 迎えに来なかった
藤代先生はマスクをつけてひどい声で授業してた
休み時間も修ちゃんが私に会いに来ないから
クラスの女子が何度も
「宇佐美先輩どうしたの?」って訊いてくる
どうしたの?
その質問に明確な答えが出せない私が曖昧な返事を繰り返すと
察してくれたのか
そのうち
何も訊いて来なくなった
学祭の準備も大詰めを迎えて
帰りはいつも
外が真っ暗になってから
生徒玄関の靴箱
上靴をしまいローファーを履く
外に出ると
グレーの雲の切れ間から
半月が顔を出してた
「絆ぁ、バッバ~イ」
クラスの友達が片手を上げて
月を見上げる私の横を
チャリで通りすぎた
「………バイバイ」
チャリをこぐ後ろ姿に手を振るけど、私の「バイバイ」はあの子には聞こえていないだろう
「き~ずな!」
私を呼ぶ
明るい優しい声に振り返ると
「………紗智」
紗智がガシッと私の肩を抱いて
「今夜は絆んち泊まっちゃおうかなぁ~」
「え?」
「なんか、いろいろ溜めてるでしょう?絆」
その気遣いに目が熱くなって
涙が出そうになる
紗智は「溜めてるって表現なんかエロイね」って笑ってた