Strawberry on the shortcakes
玄関でサンダルを履き
ドアスコープを覗くと
――――なんで?
慌てて鍵を開け、ドアを開く
少し肌寒い風が入ってきて
サンダルの裸足がすうすうした
「紗智?お前、どうして」
開いたドアを片手で押さえて訊くと
キッとオレをにらみ
「柊ちゃん!
なんで絆に
そんなこと話したんだよっ!」
興奮した様子で怒鳴るから
紗智の腕を掴み玄関の中へ入れドアを閉める
「なに?オレ全く話が見えない」
紗智はグッと手を握りしめ
「さっき絆に全部聞いた
柊ちゃんが学校休んだ日のこと」
「…………あぁ」
そうか、あの時のこと
紗智は怒りに満ちた目で
オレを見上げ
「柊ちゃん、絆の気持ち知ってたでしょう?」
否定も肯定もせず黙っていると
「絆の気持ちに答える気ある?」
「バカ言うなよ。
自分の子供でもいいくらい歳が離れてるんだ
そんなこと」
「だったらっ!」
大きな声でオレの言葉を遮り
「だったら……言うなよ
絆にだけは言っちゃダメだよ
柊ちゃんのつらいの
全部、全部
あの子が背負っちゃったじゃん」