Strawberry on the shortcakes



2学期の終業式が終わって



帰り支度をしながら冬休みをどう過ごすかなんて



騒がしい教室の中



コートを羽織り、マフラーを巻きながら紗智の席まで行き



「一緒に帰ろうよ」と
背中に声をかける



「あ~」って気まずそうな声を出しながら紗智は振り返った



「もしかして先約?内田くん?」



首を傾げて訊くと



パンッと口元で手を合わせて



「ごめんっ!」と紗智は言った



「い~よ。い~よ。
男ができると女の友情なんて」



「絆ぁ~」



「あははっ!嘘だよ」


笑いながら教室の入り口に視線を移すと


内田くんが
笑顔でこちらを見てた



「ほら!旦那が待ってるよ♪」


紗智の背中を押すと


恥ずかしそうに私を振り返り



「夜、メールするわ」



私はうなずいて手を振った




内田くんに駆け寄り
肩を並べ廊下を歩くふたりを ぼんやり見送ると



「絆」


同じクラスの女子

海老名(エビナ)と 松ちゃんが声をかけて来た



「絆、暇ならカラオケ行かん?

駅で
他校の子と待ち合わせてんだ

人数多い方が楽しいから」



ん~、と考えて

断るのも逆にめんどくさいか



「うん。行く」と
OKして学校を出た



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