Strawberry on the shortcakes



体育館を出ると
廊下の空気がひんやり冷たく



肩に置かれた大きな手に
すごく緊張した



私を気遣い ゆっくり歩きながら



「具合が悪いなら、ちゃんと事前に言わないと」


「……どうして私が具合悪いってわかったんですか?」


先生は はっきりと



「キミを見てたら、すぐわかるよ」



その言葉に涙ぐみ
先生に気付かれないよう
うつむいた





 キミを見てたら





短い時間に頭の中で

その言葉をその声を

何度も何度も反芻した




始業式が行われてる中


廊下を歩くのは


先生と私 ふたりきり



「………先生。
どうしてわかったの?」


私の言葉に先生は不思議そうに「ん?」と言った



「だから、キミの体調くらい見てたらわかる……」


「そうじゃなくて………」



そこで やっと先生は私が言いたいことに気がついて



「あぁ。これ」


笑ってネクタイを指差した



「わかるよ。うん。わかる…
ありがとう。
すごく嬉しかったよ」



真っ直ぐ前を向き

本当に嬉しそうに微笑んだ

先生の横顔を見て

クラッと めまいがしたのは

生理痛のせいではない




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