Strawberry on the shortcakes
それから私の顔をのぞき込み
「キミも気に入ってくれたようで良かった」
先生が香水に気がついたことに恥ずかしくなる
「あ、ありがとうございました」
少しどもって お礼を言ってから
「でも、先生が香水をプレゼントに選ぶ姿って想像できません」
先生は少し恥ずかしそうに
鼻の頭をかいて
「実は、何を買っていいのか わからなくてね
デパートに行ったら ちょうど目の前にキミに似たような女の子が彼氏らしき男の子と歩いてて
その子たちが、買って行った物がその香水だったんだ………」
デパートで
高校生カップルの後ろを見て
ほう、ほう
こういうのが良いのだなと
同じ物を私に買った先生を
リアルに想像して
「………ぷっ」
思わず吹き出して笑った
「笑うなんて失礼だぞ!」
先生が少しむきになって怒ったから逆にもっと笑えた
自分で選んだと言われるより
先生らしくて嬉しかった
いつまでも笑う私を
横目でにらんでから
すっ…と廊下に視線を落とし
「………クリスマスなんて
結がいなくなってから
一度も気にしたことなかったから」
先生がそう言った時
私の肩に置かれた彼の手に
少し力が入ったのを感じて
胸の中に切なさと温かさが一気に押し寄せた