Strawberry on the shortcakes




しばらくしてから保健室に絆の様子を見に行く




「絆?具合は………」



声をかけながら
カーテンを開くと
絆はぐっすり眠っていた



小さな子供みたいな その寝顔に


なんだか
全身の力が抜けるように
ホッとして


胸がじんわり温かくなる



ベッドの隣の椅子に座り



指先でそっと絆の頬を撫でた



来月か………
あと1ヶ月ちょっとで
お別れだな



良かった、本当に。


まだ子供なんだから
親のそばにいるべきだよ



急で少し驚いたけど


どっちにしても
絆とは もう会えなくなるって
決まってたし



オレも春から新しい場所で
新しい生活を始めようって
決めたから



絆に どう言おうか迷ってたけど



先に言われてしまったな



「………絆、ありがとう
キミのおかげだよ」



 ガタン


部屋の入り口から物音がして


「絆ぁ、具合は大丈夫かい?」



紗智がシャッと勢いよくカーテンを開いて入って来たから



「シー」って
口元で人差し指を立てた



「あ」って紗智は声を潜めて



「お邪魔だった?」と余計な詮索をしたから



「バ~カ」とデコピンをした




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