Strawberry on the shortcakes
先生を紹介しようとした私の言葉をさえぎり
先生は
お母さんに深く頭を下げた
「私、絆さんの高校で教師をしております藤代です」
お母さんは驚いたように「まあ!」と口を手で覆い
「それは
娘が大変お世話になって……」
「藤代先生は
私の隣に住んでるんだよ」
私が捕捉説明すると
更に「まあぁ!」と半ば叫ぶように言ってから
「それはそれは、うちのバカ娘が何かとお世話に……」
バカ娘?と多少イラッとした私の前で先生は
「いえいえ」と
手を横に振っていた
「父親の海外転勤のせいで一人暮らしなんてさせてしまって………
先生がお隣にいらしたなら
何かご迷惑おかけしたんじゃ」
先生は 一度、目を伏せてから
真っ直ぐお母さんの目を見つめ
「絆さんは、優しく思いやりのある素直なお嬢さんで
彼女の姿を見ていつも
とても素敵なご両親の元
温かい家庭でたくさんの愛情を受け育ったのだろうと感じておりました」
先生…………
穏やかに微笑みながら
先生は私と目を合わせた
ありがとう、先生
「まあまあ、先生。
そんなことございません」
オーバーアクションで首も手もブンブン横に振るお母さんを
満足そうに笑いながら見て
「それでは」と先生は会釈した