Strawberry on the shortcakes



首輪やリード、ベッド、お皿、ドッグフードを買って帰って来たお母さんが



「え~。
名前、絆が決めちゃったのぉ」


かなり不満げに言った



「だめだった?」



キッチンで買ってきた子犬の皿を洗いながら


「別にぃ。絆の犬だし
絆の自由だし
………で、名前は?」



「藤(フジ)くん」



「…………はい?」


「だからぁ藤くんだってば」



藤くん。とお母さんは呟き



「あれ?そういえば、引っ越しの時に会った先生の名前って藤代……」



「か、かかかかか関係ないし
ふ、藤の花が好きなのよ私」



「はい、はい。よろしいんじゃございません?

藤く~ん、ご飯買ってきたよ」



うう。お母さんめ
変に勘が鋭いなぁ






夜、帰宅したお父さんも
少し目尻を下げ


「可愛いなぁ。
そうか、藤くんか」

スーツ姿のまま
藤くんの頭を撫でた


お母さんがダイニングで
お父さんの晩酌の用意をしながら



「藤の花が好きだから
藤くんなのよねぇ~?絆ぁ」



「そ、そうよ」


意地悪なお母さん。
ぷぅと頬をふくらませ
ソファーの上で膝を抱え
テレビを見てるふりをした



何も事情を知らないお父さんは


「渋いな、絆」と言って


お母さんがお腹を抱えて笑った




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