Strawberry on the shortcakes
ケータイを耳にあてると
「絆?」
「――――――――お母さん」
電話の主はお母さん
「どうしたの?
何かあったの」
私が訊くと
ため息まじりに
「何かなくても電話くらいするわよ
絆ったら全然連絡くれないでしょう?」
「だって。連絡するような別に困った事ないよ?」
「ただ声が聞きたい。
それだけで充分でしょう?
親子なんだから
絆は変なところ意固地だからね
お母さん寂しくなるわ」
「私、意固地じゃないもん」
懐かしいお母さんの声
少し寂しくなったくらいで電話しちゃったら
私きっと毎日電話したくなって我慢出来なくなるもん
「宇佐美の家も親切だし
新しい友達も出来たよ
だから
私は大丈夫…寂しくないもん」
クスッとお母さんは笑ってから
「はい、はい。わかりました
こっちもお父さんも元気だし
夏休みは遊びにいらっしゃいね」
そう言って電話は切れた
耳の奥にお母さんの柔らかい声がいつまでも残って
ギュッて胸のところでケータイを握りしめた