Strawberry on the shortcakes
ソファーに座ると
先生が紅茶を出してくれた
私の隣に先生が座って
ドキンって心臓が飛び跳ねる
「何も甘い物とかないんだ
ごめんな」
「いえいえ、お腹いっぱいです」
会話が途切れて紅茶を一口飲む
…………帰りたくないな
って、ヤダ 私ってば
………でも
やっぱり帰りたくないな
ずっと このまま先生の隣にいたい
「………先生は」
「え?」
「先生は寂しくないですか?」
奥さんが亡くなってから
ずっと独りで
先生は寂しくないのかな?
「ん~」
困ったように笑って
「寂しくない……わけないよ」
先生の言葉が
私の胸を締め付けて苦しい
「夏が来れば彼女が遠くに行ってから16年
それは、すごく長い時間で
やっぱり寂しかったよ」
先生は遠くを見つめるような目で話してくれた
「だけど彼女は
その寂しさを堪えうる事が出来るだけの
素晴らしい時間をオレにたくさん遺してくれたから」
先生は私の目を見て笑い
「一緒に過ごした時間はすごく短かったけど
一生分の幸せをオレにくれたから
オレは泣かないで生きて来れたよ」