Strawberry on the shortcakes
「柊
急に呼び出すなんて珍しいな」
居酒屋の堀炬燵に足を入れ
高野先生が「よいせ」って座った
オレが無言でドリンクのメニューを差し出すと
手で「いい」とやって
オーダーを聞きに来た店員に「生中2つ」と言った
おしぼりで手を拭きながら
「柊が話があるっていう事は
うちの紗智が何か悪さでもした?」
オレは笑って首を横に振り
「サッチャンはすごくいい子だよ」
テーブルに視線を落として
何から話せばいいのだろう
そう考えると
「お待たせしました~」と店員がテーブルに汗をかいたジョッキを置いた
しばらく黙り込むオレを
ビールを飲みながら高野先生はチラッと見た
「なんだよ、柊。
もしかして好きな女でも出来た?」
冗談めかして笑った高野先生をオレは真顔で見つめると
「当たり?」
高野先生は眉をしかめて
「……いいんじゃねぇの?
もう16年になるだろ?
お前もずっと独りじゃあ……」
「高野先生」
信じてもらえるのかな?
こんな話
「高野先生は生まれ変わりを信じますか?」
オレの言葉にしばらくポカンと口を開けて
「寂しくて宗教に走ったか?柊」
………ま、
当然な反応なのかも知れない