Strawberry on the shortcakes



「じゃあ、柊の悩みは絆ちゃんを結ちゃんの身代わりに考えてるって事か?」



オレは静かに首を横に振った



高野先生は不思議そうに

「え?違うの?」と訊いた



「結は『必ずまた逢おうね。約束だよ』って言った

そして絆が現れた
素直に奇跡を喜んで結に感謝すべきなのかも知れない」



結の言った通り


この世に命が存在する限り
世界中には奇跡が溢れてる



結が最後にくれた奇跡が
絆なのだとしたら



素直に感謝し、絆にだって結の話をしてもいいんじゃないかって………




だけど――――――――



「だけど、絆にオレは必要ないんですよ」


「え?」


「そもそもオレが結と結婚したのは
結が孤児だったからです」


もちろん結を愛してた


いずれ結婚出来たらいいと思ってた


でも、もし結に家族がいたら


オレは高校生の結に


プロポーズなんてしなかった



「結局、卒業後に不安があった結を支える手段として
オレは結婚を選んだんですよ」



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