Strawberry on the shortcakes
そうだ
オレはこの子をずっとこう呼びたかった
「……結」
髪を撫でると
指の間を通る感触が気持ちいい
結
ねぇ、結
「生きてたら35だろ?結
なんで結は高校生なんだ?」
…………なんて、オレ、バカだ
ベッドから立ち上がり
また椅子に座ると
コンコン
保健室のドアをノックする音が聞こえて
ガラッ
「失礼します」と入って来たのは
「………宇佐美」
ベッドの回りのカーテンを開けて宇佐美が入って来た
「藤代先生、キッズは?」
キッズ………
あ、絆のことか
「うん。脳震盪だって」
「そう」
宇佐美はオレとは反対側に回り
絆の頭を撫でた
「先生」
「うん?」
「藤代先生、すごかったね」
そう言ってオレを見た宇佐美の表情はすごく強ばってた
「キッズにボールが当たった瞬間にはもう藤代先生下まで走って
『絆!』って呼んで抱きかかえて体育館出て行ったよね?」
宇佐美はオレを真っ直ぐ見つめてた
「藤代先生とキッズって
――――何かあるの?」