あの男は私に嘘をつく
数学準備室に近づくにつれて、なんか息苦しくてかなわない。
心臓に手を当てると……、無駄に速くてｲﾗｲﾗする。





なにﾄﾞｷﾄﾞｷしてんだよっ!!!!意味分かんないしっ!!!あんなのに、興味ないはずでしょ-!!





数学準備室のﾄﾞｱの前に立ち、気合いを入れるため、頬を2回叩いた。






すると、ﾄﾞｱが急に開いた。











で………………、出た。









工藤は眠たそうな目をこちらに向け、この前とは違う笑顔で言った。







「参拝されてるのかと思った…。」








「はあ???」






「あ、中にどうぞ。」








なんか…この前と違うし……。
あの妖しい顔…。こんなにも忘れられなかったのに、今みた笑顔は、全くの別人のよう。
しかも、ぼけーっとしてるし…、なんかとっつきにくい。








私の目の前に、温かい湯気を放った香りのよい紅茶が出された。
紅茶には詳しくないし、なんだかよく分からないけど、とりあえず心臓を落ち着けるため、軽くすすった。





その様子をじっと見つめてくるから……、全然心臓が落ち着くことはなく、逆にﾄﾞｷﾄﾞｷは増すばかりであった。
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