あの男は私に嘘をつく
『大地』












『先生』










呼び方が違うだけで、こんなに心が苦しくて、つらくなるなんて、思ってもみなかった。はっきりと理解させられる。『彼女』と『私』の違いを……。








分かってる。わかってるだけ、なおさら苦しい。欲しくて手を伸ばしても、そこにはなにもいない。












私のそばにいれないなら……、












もう私なんか放っておいて……。








私が好きなら大丈夫だと思ってた。けれど、そんなのは子供の考え。迷惑を考えない子供の考えなんだ……。だって、先生には確かに彼女がいる。その事実は寝ても覚めても変わらない。











なのに……、どうして??












どうして、追いかけてくるの………??






私は立ち止まり、息を切らしながら、私の片手を痛いぐらい握りしめる先生の顔を見た。
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