あの男は私に嘘をつく
「はしも……っ!!」












「昔は恭子って呼んでたじゃない。」









「恭子………。」









「でも、そのときから私は先生の1番じゃなかった。」







先生はそれを聞くと、何も言おうとはしなかった。返事がないことが、私の言葉を確信に変えていた。









「まったく気付かなかった。絶対私が1番なんだ、て1人で浮かれて……。子供だから、だましやすかったでしょ??」










「……」











「だから、それがわかったとき、凄く先生を……恨んだ。大っ嫌いよ。彼女いないなんて嘘ついて、だまして、弄んで………。先生なんか大嫌い。」












「だったら………、」









先生が私の腕を外そうとするのを、腕に力を入れることで抑えこんだ。










「でも、大嫌い以上に先生が………好きなの。いつの間にか、こんなに好きになりすぎてる反面、彼女がいるのに私の心を縛りつけてる先生が憎かったよ。」
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