あの男は私に嘘をつく
「姉だよ。」





「お姉さん??」





そう言われたら、鼻筋も通ってるし、目も大きいし、姉弟な気もする…。
私はまじまじと工藤を見た。




「そんな見られると、照れるから。」





工藤の長い手が私の頬に触れ、抵抗させない…。
なんだろう、この感じ。 誰かに、心を操られているような……そんな感覚。抗えないの、嫌なのに、工藤の手を振り払えない。
きっと今の私の顔、凄いだろうな……。





工藤が急に笑って、






「問題解けたようだね。答え合わせするか。」







「……い、いや、いいですっ!!!じゃっ!!!!」






私はカバンだけ持って、部屋から飛び出した。
だいぶ離れたのに、学校を出ても、走り続けた。







私っ……、あいつといると……、自分じゃなくなるっ……。






工藤は…危険だ。
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