あの男は私に嘘をつく
私は最後まで目をそらさなかった。
それが、工藤にできる最大の抵抗だと思ったから。





「橋本。」








「………なによ。」






工藤の顔は一層近くなる。工藤の…息がかかる。
いい匂いがするのも分かるぐらいの距離に、私はいる。













「付き合おっか。」







「………………は???」







な、なに言ってんの…??
会ってまだ3日目だよ…??いやいや、そんな問題じゃなくて、第一……、教師と生徒でしょ……??









戸惑う私をよそに、工藤はあの笑みを浮かべていた。そして、私の茶色に染めた髪に優しく触れ、口元に持っていき、軽くキスをした。






その姿にどきっとしてしまう、自分がいや。
工藤は答えを待ってる。






どうしよう……。









私が口を開こうとしたとき、工藤のほうが先に言葉を発した。

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