あの男は私に嘘をつく
「うそだよ。」







「は???」








「だから、うそだって。教師と生徒が付き合うなんて、マンガだけの話だよ。」






そういって、工藤は私の頭をポンポンと撫でる。
あまりの衝撃で、私は口をあんぐりしていた。






え??
冗談なの??
いやいや……、え??
てことはつまり……。












だまされた???








「本気にしちゃった??」




ぱんっ







私は気付くと、工藤の頬を思いきり叩いていた。
修二にするときとは違う。もやもやした感情にどうしようもなくて、工藤の顔が霞んでみえた。







「そんな嘘、つかないでよっ!!!ハンパに弄んでっ……。あんたなんてっ……、嫌いよ。」









私は部屋を出ることもせず、ただそこで立ったまま涙を流した。






悔しい。こんなやつの前で泣きたくなんかなかったのに。涙が、止まらないからっ……。
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