あの男は私に嘘をつく
そのとき、ふわっといい匂いが漂ってきて、私は工藤に抱きしめられた。
温かくて、すごく…幸せだった。






「ごめんな。」










そう言いながら、私の頭をまた撫でる。さっきみたいに軽いカンジではなく、もっと……、優しいカンジだった。
心地いいから、ずっとこのままでいたい。
そう思えた。







泣き止むまで、工藤は私の頭を撫でていた。
一定のリズムで狂うことなく撫でるから、一瞬眠ってしまいたい、そんな気になった。








「泣き止んだ??」









「あ、あ、あ、ありがとうっ!!」







ばかな私。さっき泣かされたやつに、何慰められてんの。
しかも、すっごく安心しちゃって、心許して……。






私は身体中から火が出そうだった。部屋が暖かいせいで、なおさら暑くて、手が少し汗ばんでいた。






工藤はクスッと笑い、さっきの答案をひらひらさせる。





「じゃ、解説するか。」






私はその笑いに、少し参った気になってしまった。
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