あの男は私に嘘をつく
好き………??




私が工藤を…………好き??





「な、なんでそう思うの……??」



「工藤と仲よさげだし、ほかの授業は聞かねぇで寝てる恭子が、
数学だけは前向いて聞いてるし。」




そ、そんなの無意識だった…………。確かに、ほかの授業はつまんないから寝てる。でも……、数学だけ、先生の授業だけは前向いて聞いてるなんて、自分でも意識してなかったことだった。無意識とかどうとかよりも、先生に変に思われてないかどうかのほうが不安だった。



「ねぇ、どうなの??」



脩二の口調が強くなる。そして、さっきまでは自分の席に座って寝そべっていたのに、いつの間にか教卓にいた。
そのまっすぐな目に戸惑う。工藤もそう。絶対そらそうとしない目。私はいつもその目に惑わされて、動けなくなって、工藤の思うままになってる。でも…、いやじゃなくて………。
て、なに工藤のこと考えてんだろっ!!!もぉ、最近こんなんばっか……。



「工藤のこと考えてんの??」



「違うって……、そんなんじゃっ……!!!」




「俺のこと、どう思ってる??」




「…………は??」



「俺が恭子のこと、どう思ってるか知ってる??」



………なに言ってんの、脩二…。どうって……。友達でしょ??私にとっては女友達と同じくらい遠慮しなくていい、大事な……友達だよ。脩二も……そうでしょ??



「どうって………、と、友達でしょ??どぉしたの、脩二ったら!!マジな顔しちゃって!!!」


私が脩二のデコを軽くポンッと叩くと、脩二はその衝撃で軽くよろけて、そのまま俯いてしまった。



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