あの男は私に嘘をつく
朝、学校へ着くと修二はいつものように、ちょっかいをかけてきた。





「恭子、お・は・よ。」





「いやっ、汚い投げキッスしないでっ!!!!」





「ひどっ!!!いくらなんでも泣くからねっ!!!」





泣きまねをする修二の頭を仕方なしに、美香子が撫でていた。慰めるのはいつも美香子。ほんっとにこいつは皆に迷惑かけるんだから……。










『俺が恭子のこと、どう思ってるか知ってる??』









どきっ










ヤバイ…。変なの思い出してしまった。そ、それはきっと深い意味はないのっ!!!!うん、ないない。





ふと顔を上げたとき、修二と目が合った。
修二はニッコリ笑う。いつもと同じ。






ほら、気にしなくていいの。もう、忘れよ……。
一人で焦って、バカみたいだし。






「私、ちょっと売店行ってくる。」





「ついていこうか??」




「大丈夫っ。」





私が勢いよく教室から飛び出すと、鼻を思いきりぶつけた。
ぶつけたわりに、ぶつかったものが柔らかかったせいで、大したことはなかったけど。



「す、すいません。」




見上げた先に見えたのは、微笑む……先生だった。
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