あの男は私に嘘をつく
「修二…、あの……。」






修二はただ黙って私の前を歩いていた。けど、いつの間にか、手を握られていた。なんだか、今日は振り払えない。





『俺が恭子のこと、どう思ってるか知ってる??』











昨日のことがあるから……。








いきなり修二は口を開き、後ろを振り返った。







「俺もなんか買いたくなってさっ!!!のど渇いたし、ジュースでも買うかなっ!!!」





その弾みに、修二は手を離した。
修二と……先生に掴まれた私の右手は、急に一人になって、異常な軽さに少し戸惑った。











「遅い〜っ!!!急に修二も出ていくし、ヒマすぎっ!!!」



美香子が頬を膨らませ、口を尖らせていう。
私がごめん、と何回か手を合わせて謝ると、しぶしぶ許してくれた。







その日の昼は何もなかった。美香子はいつもみたいに、彼氏がど-とかそんな話をしてて、修二は修二でバカやってる。私がたまにちゃちゃいれて、それでおしまい。




私はそれに違和感を感じて、なんだか馴染めなかった。
さっきのことが……気になる。
修二のことじゃない…。
先生のこと……。
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