あの男は私に嘘をつく
先生……、脩二が私をつれてったあと、どんな…顔してたのかな。





目の前から私がいなくなって、一人になって…、先生は何か思った??






私はね……、思ったよ。






どうしてだか分からない。わからないけど……、離れたくないって思ったんだ。脩二の手を振り払いそうになった自分がいたけど、ここでもし、振り払ったら、脩二の言うこと認めることになる。







『好きなの??』





私が先生のこと好きかどうかなんて、わからないの。この気持ちを恋だって思うには、私に自信がなさすぎるから。





今までたくさんの人と付き合ってきた。いろんな人に告られて、付き合って、手をつないで、抱きしめられて、キスをして………。そのときの気持ちが恋じゃないの??だとしたら、先生に抱く感情は恋じゃない気がするの。





今までは、男に近づいただけで、こんなにドキドキしなかった。





今までは、抱きしめられても、こんなに身体が熱くなることなんてなかった。





今までは、あんなに見つめられても…、目をそらしたりしなかった。




先生に近づくと、いつももやもやした気持ちになるの。なかなかとれなくて、縛り付けられて、でもその気持ちが愛しいと思うのは……なんでかな。





今まで感じた"恋"とは違うから……、これは恋じゃないのかもしれないな。






うん………、違うんだ。先生は………、先生だもんね。
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