あの男は私に嘘をつく
「橋本っ、放課後準備室に来い。課題渡すから。」






大きな声で言われたから、声が若干教室に響いたけど、昼ごはん前で教室は割とガヤガヤしていたため、そんなにみんな聞いていないようだった。






急なことでびっくりして、私はとりあえず激しく頭を上下に振った。先生はまた笑って、教室を出て行った。嵐がやっと去った……。私の心臓にも平穏なときが流れ始めた。








「ちょっとぉ、放課後お呼出じゃ~ん。」






「からかわないでよっ、美香子っ!!!」






「顔、赤いけど??」






「もぉ!!!」







美香子が頬をつつき、私も仕返しに頬をつつきかえしてやった。美香子は急に教室を見渡しだした。





「どうしたの??」





「脩二、いないけど??」





「へ??ホントだ……。」




「いっか……!!お腹空いたし、先食べよっ!!」





美香子が促すまま、私たちは机をくっつけて、ひるご飯を食べた。昼ごはんの時間が終わるまで、脩二は帰って来なかった―――。



< 44 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop