あの男は私に嘘をつく
「それで、この地軸が………。」









5時間目が始まって、修二はやっと戻ってきたが、ずっと机を睨んだままで、一度も話すことはなかった。











どうしたんだろ、修二のやつ……。











明らかにこの前の放課後から、修二はなんだかおかしく感じる。ときどき怖い顔をしたり、黙ったり……。今までこんなことはなかった。












やっぱ、修二がうるさくないと、楽しくないよ………。











ふと修二と目が合った。












何気なく笑ってみたが、修二はすぐ別の方をむいた。











な、なによっ…。感じわる……。












潤み始めた目を、セーターの袖で擦るように拭いた。目の中に毛糸が入って痛かったけど、そんなことよりも……。













私は、心のほうが痛かったんだ。
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