あの男は私に嘘をつく
先生は机に片手をつき、私に覆いかぶさるような体勢になった。








「じゃあ、どんな関係になりたいの??」














その質問にムッとした。













先生はいつもいつも、私が言ったことには答えてくれない。
はぐらかして、大人の余裕見せて、本当のことなんて私には一つも言わない。
そんな先生にムカッときた。











「先生は、私のこと好きなのっ!!???」











私は椅子に立ち上がり、先生を見下ろす形で言った。先生は口をあんぐり開けている。











ざまあみろだっ!!!いつまでも、モジモジしてばっかじゃないのよっ!!!!












でも先生には効かなかった。逆に……S心を煽ってしまったようだ。











「形勢逆転したつもり??」






「い、いや、そんなんじゃないけど……。」










「恭子は、俺のこと、好きだろ??」












う………、やっぱ先生には勝てない。なんでそんな顔で言うの。意地悪で俺様、だけど、逆らえないのは、どうしてなんだろう……。











私は先生の肩に手を回した。ほんと、敵わないよ……。








「好きだけど、文句あんのっ!!!??」







先生は噴き出した。初めて、先生が心の底から笑っているのを見た気がする。笑い終わった先生は、私の耳元に口を近づけて言った。








好きだよ、て。
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