あの男は私に嘘をつく
「だ・めだってば。」








先生の口元に手をあてる。ぼおっとした目で私の手を見ていた。










急に手を掴み、先生が軽くキスをした。











先生の唇も熱くて、私もぼおっとなった。












「先生……??」











「恭子……。」










「え……??」












「早く……。」










「うん??」












「卒業しろよな……。」











思わぬ言葉に戸惑った。先生がそんなこと言うなんて、思ってもみなかったから。










「そ、そりゃ私だって…っ。」












がちゃっ













その音に、私もたぶん先生も……、振り向いた。












信じたくない。














でも、それが現実だったんだ――――。
< 63 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop