あの男は私に嘘をつく
「お茶でも飲んでいく??大地のことは、安静にしていれば大丈夫だから。」











声は鈴がなるように、高くて、りんっとしていて、上品で……。













「あ、大地。ちゃんと布団着なきゃ。ふふ、昔から変わらないね。」











「あ、あぁ………。」



















私とはなにもかもが違う…。













「わ、私帰りますっ!!!先生、お大事にっ!!!」










カバンを引ったくるように持って、走って階段を下りていった。












後ろから、あの人の声が聞こえた気がしたけど、もう走るのがやっとで、振り返ることが…できない。












涙が風に乗って流れてく。











走った。












走って走って、












この涙が乾くぐらいに……。












この心の熱も一緒に、













冷めてしまえばいいのに………。
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