あの男は私に嘘をつく
数学も授業。






なんとか根性で受けてやった。どお??逃げるとでも思ってたでしょ??






ナメないでよ。これが一番効くと思ったの。授業中、教室見渡したら、必ず私が目に入るでしょ??視界から消えてなんかやらない。








私はここにいるよ。








……ただ、あのときの先生との思い出はすべて捨てるね。私と先生は、生徒と教師。その関係に戻るだけ。…戻るだけなの―――。














授業もすべて終わり、カバンを持って、教室を出ようとする。







「恭子っ!!!!」







息を切らした修二とドアの前で会った。修二は息を整えながら、なにか言おうとする。








「ちょっ、どうしたの??いいから、落ち着いて……っ。」






背中をさすろうと回した私の手を修二が掴む。力がこもって痛みが走る。私は痛みに顔を歪めたまま、修二の顔を見た。









その瞬間、修二は私を抱きしめた。
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