あの男は私に嘘をつく
「わ、忘れたくない人って……誰だよ。」












「ん〜??知りたい??」











麗華姉さんは背を向け、グラスを手に持ったまま答えた。
おじさんはバツが悪そうに、下を向き頭をかいた。












「いや…、やっぱいいわ。」










「気になるんでしょ??」









「いや、別に……っ。」








「そんな人、いるわけないでしょ。」










グラスを起き、振り向いた麗華姉さんの目にうつったのは、口をあんぐり開けたおじさん。いかにも、訳が分からない、と言いたそうな顔であった。












「体験談っぽく語ったほうが、真実味が感じられるでしょ??あんなの、嘘に決まってるじゃない。」









「おまっ……、いいかげんにしろよ……。」











肩を落とし、持っていたタバコを近くの灰皿に押し付けた。
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