あの男は私に嘘をつく
「修二てさ、友達としてはちょうどいいけど、彼氏には向かないよねー。よく言われない??つまんないとか、奥手とかさぁ。」













口が勝手に動く。これほど自分が嫌で、早く終わってしまえば、と思ったときはない。でも、この口はまだまだ止まらない。たくさんのひどい言葉を浴びせて、私の口はやっと最後を迎えたようだった。












「だからさ、別れよ。」













………ひどい女。自分がさみしくて辛くて仕方なぃから、好きだと言ってくれる修二にすがって、今捨てようとしている。言葉が終わって、修二は顔をあげた。怖くて、その目が見れなかった。










「なんで??」









「さ、さっきも言ったでしょ……っ!!飽きたんだってっ……!!!」







今度は力強く抱きしめるから、最後の言葉がつまった。振り払おうとしても、固くて抜け出せない。修二の吐息が耳にかかる。その熱さに流れでそうになる涙をこらえた。
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