あの男は私に嘘をつく
学校のなかはひんやりしていて、時折吹く風が校舎を駆け抜けると、身体に鳥肌が立った。






さっむ…。早く職員室行こっ。





私は足早に職員室まで駆けていった。
中には、数人しか先生がおらず、そのなかに、島林がいた。
島林は私を見て、中に入ってくるよう、偉そうに手招きした。







「今から数学準備室行ってこい。先生に失礼がないようにしろよ。先生のご好意なんだからな。」






「は??先生が教えてくれるんじゃないの???」







「俺がいいかもしれないが、俺も忙しいんだよ。だから、代わりに、ほら、昨日見ただろ、若い…あの……。」







ま、まさか………。







「あ、工藤先生な。工藤先生に失礼がないようにしろ。」







マジで……。
あの人か……。
今1番会いたくない先生No.1なのに…。





私がショックで立ち尽くしていると、島林が腰の辺りをポンッと押して、



「早く行けっ!!!」





とニヤついた顔で言った。






キモッ!!!!なに腰触ってんだよ、どさくさにまぎれてっ!!!!




私はハゲ担任の触った腰を手で払いながら、数学準備室に向かった。
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