ボキ、エル。
おじいたんの散歩はよく休んでゆっくりゆっくりしたペースだったけど、ボキ好きだったんだ。


いつもボキは後ろを見ながら、時にはおすわりして待ってた。


待ってたら、必ずおじいたんはボキに言う言葉があった。


「エルは歩くのはやい」

「おじいちゃんが普通のペース」


そうやって絶対足が動かしずらくなってるのを、認めなかった。


三回くらい散歩の途中で足がでなくてこけた。


「おじいたん、大丈夫?」
おじいたんのそばに行って手をペロペロナメる。


「ふたりの内緒、男同士の約束」

そう言って、内緒にするかわりに、ボキの好きなパン買ってくれた。


二回目は、血が出るくらい怪我した。
ボキ怖くて帰ってきてからすぐ、おばあたんに言ったんだ。


それから少したって、おじいたんは、ボキの家からいなくなった。


おじいたん立てなくなって、それでもおじいたんボキを撫でてくれた。


暖かかった。


赤い光とうるさい車がおじいたんを連れて行ったんだ。
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