Dear;You

昨日の事がまるで
遠い昔だったかのよう。
だって、
「よっ、馬鹿紗絢♪」

こいつ、またいつもと変わらないから。


動揺とかないの?
・・・・ほら、キスもして


・・・・なのに、あれ・・・?



「大河・・・・?」

あたしがそう言うと、大河は「なんだよ」といつも通りの返事。


「・・・昨日の事、ほんとなんだよね?」


「そうだよ」


「じゃあ・・キ・・・キスの事も?」

「ぉ前・・・・声がでかいって」


「・・・ごめん、・・・じゃあ、大河・・・なんで普通でいれんの?・・・あたし見てよ・・・もぅ・・・ッ・・・」

「・・・俺だって・・・、」


「あたし、普通じゃいられないよ?・・・席だって・・・隣なのが辛い・・・っ・・考えちゃうし、」


「・・・俺だって、辛いよ?・・・・ほら、紗絢が隣にいる、ってだけで・・・・また・・・理性ブッ飛ぶ・・・ていうの?・・・ごめんな?」


「・・・謝んないでよ」


「俺・・・・キス以上はしないから・・・・ね?」


「・・・・ぅん」


「・・・・だから、紗絢は安心していいの♪」


「ほんとに・・?しない?」


「するわけねえじゃんか♪」

「・・・ょかった」


「おう♪」


なんだろ、あたしって
なに不安になってんのかな


大河があたしを
犯しちゃうんじゃないか、って思うと怖くて、


怖いよ・・・・


でも好きな気持ちは
変わらなくて、キスの感触も、まだ・・・・忘れてない。


キス以上・・・・か、


まだ早いよね、あたし達・・・・中3には。


まだ遠い世界だよね。
大河もそれはわかっているはず。


「大河ーっ」
頬杖をつきながら言う。


「なんだよー・・・」

手元の漫画に夢中らしく、こっちを向いてくれない。

「なーに夢中になってんの?こっちみてよね♪」

「いま真剣なのーっ」

「ぇーっ」

「なんか話あんの?」


「ぅ・・・うん」

そう言って、あたしは大河を連れ出した。
< 18 / 37 >

この作品をシェア

pagetop