消える前に伝えたくて
伝えたい事
「僕が消えてしまう」
一匹の犬が想う心情とは裏腹に、青い空は雲一つ浮かべてはいなかった。
「伝えないと……」
青いモノになった犬は、一人の少年に必死で何かを伝えようとする。
少しでも少年の目に映れば良い。それだけを願って……。
「耕太!」
一匹の犬が声を上げる。その瞬間、強い風が少年の背中を押した。
少年は何かに気付いたかのように青いモノを瞳に写した。
少年の瞳に自分が写っているのを確認した一匹の犬は、少年を導くように姿を消した。
少年は何かに導かれるように歩み出す。青々しく晴れる空の下、忘れかけていた何かを掴む為、包み込み、背中を押す風に導かれて……。
息を切らす少年。
導かれて辿り着いたその場所には、小さなお墓が建っていた。
「伝わったんだね、僕が消えてしまう事……」
少年が小さなお墓の前に座り込むと、一匹の犬はそう呟いた。
「久しぶりだね、飛房(とびふさ)。ここに来るのは初めてだね……」
座り込んだ少年はお墓に向かって声を掛ける。まるで、そこに何かが居る事を知っているかのように……。
いや、少年は気付いているのかもしれない。お墓の前に一匹の犬が……飛房が居る事を……。
一匹の犬が想う心情とは裏腹に、青い空は雲一つ浮かべてはいなかった。
「伝えないと……」
青いモノになった犬は、一人の少年に必死で何かを伝えようとする。
少しでも少年の目に映れば良い。それだけを願って……。
「耕太!」
一匹の犬が声を上げる。その瞬間、強い風が少年の背中を押した。
少年は何かに気付いたかのように青いモノを瞳に写した。
少年の瞳に自分が写っているのを確認した一匹の犬は、少年を導くように姿を消した。
少年は何かに導かれるように歩み出す。青々しく晴れる空の下、忘れかけていた何かを掴む為、包み込み、背中を押す風に導かれて……。
息を切らす少年。
導かれて辿り着いたその場所には、小さなお墓が建っていた。
「伝わったんだね、僕が消えてしまう事……」
少年が小さなお墓の前に座り込むと、一匹の犬はそう呟いた。
「久しぶりだね、飛房(とびふさ)。ここに来るのは初めてだね……」
座り込んだ少年はお墓に向かって声を掛ける。まるで、そこに何かが居る事を知っているかのように……。
いや、少年は気付いているのかもしれない。お墓の前に一匹の犬が……飛房が居る事を……。