あじゃあじゃラブリー
その頃 旬はというと、行きつけの居酒屋で飲んでいた。

「ちょっと 旬ちゃん ペース速いよ。明日も仕事なんでしょ?」

「ママさん 俺って 駄目な奴だよ・・・」

「また、女泣かしたの?」

「俺さ・・・・女って みんな おふくろみたいな生きもんだと思ってきたからさ、
 もてるのいい事に 結構 いい加減に適当にやってきたんだ・・・・」

「そう?るみなん時は そんな風に見えなかったけど?」

「同じだよ。 俺、るみなはどうでも良かったのかもしれない・・・・
 あん時は・・・・あいつが宿した
 俺みたいな運命背負った ガキを守りたかったのかもしれない・・・
 守りたかったのは、るみなじゃなくて 俺の分身・・・・俺自身だったのかも
 しれない・・・・結局 守りきれなかったけどさ・・・・」


「旬ちゃんは ちゃんと前見て歩いてるじゃない。転んだら また起き上がって
 歩き出せばいいのよ。」


「でも・・・転んだ時に 大事なものを手放したみたいでさ・・・・」


「縁ってね 人間がどうあがいても 結べないときは 結べないの・・・・
 でも あがいているうちに こんがらがっていても 結べる縁は結べるものなのよ
それが わかるのは神以外の 何ものでもないからね

辛くても 苦しくても その縁をなんとかしようと しゃかりきになるのが 人間じゃないかな? でも 昔の人はいいこと言ったもんよね。ほら 苦あれば楽あり楽あれば 苦ありって 報われない努力はないのよ。」
「それって 諦めるなって 言ってるの?」

「どうなんでしょ!?それを決めるのは、旬ちゃん自身じゃないの?」

「なんだよいいこと言ったと思ったのに その先は 寸どめかよ…おかわり」

「そっちも 寸止めよ自分で どうしたいのか よく 考えてみることね 頭 クリアにして・・・」

そういって 居酒屋のママさんが笑った。

「わかったよ。今日は ママさんの言う事聞いて帰るよ。」

そう言うと 当てもなく 旬は居酒屋を後にした。



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