あじゃあじゃラブリー

ヨシキに押し出されるように　私はマスターと大出　旬のマンションへと向かった

マンションの管理人に連絡をいれたらしく　入り口で管理人が　待っていた。

「有名俳優でも、あまり馬鹿なことされると　同じマンションに住む住人に迷惑なんだよね・・・・」実に迷惑そうにマスターに鍵を渡した。

「申し訳ない。」

そう　謝ると　マスターが管理人から鍵を受け取りエレベーターに乗った。

「あ・・・・あの・・・・」

階数をおっているマスターに声をかけた。

「なんだい？」

「はじめてじゃないんですか？」

「ああ・・・今月にはいって　３回目かな・・・・」

「何するんですか・・・・彼・・・・」

「リストカット・・・・」

「えっ・・・・・」

「彼の左手首は　バーコードみたいに傷だらけだ・・・・」

「なんで・・・・」

「君自身が　一番わかっているんじゃないかな・・・・・」

「そんな・・・・そんなに彼は・・・・」

「弱い人間じゃない？言いたい？思いたい？でも、あいつは
　決して強い人間じゃないよ・・・・特に愛情に関しては　ガキの頃の気の毒な境遇も
　手伝ってか・・・・人一倍繊細でもろい・・・・」

「彼を知る人はみんな　そういうんですね｣

｢君だって気がついていたんじゃないのか｣

｢それは…｣ そう言いながら 言葉に詰まった。