あじゃあじゃラブリー
「ところで、胃潰瘍の方は どうなん?」

「かなり 酷いみたいね・・・ ドクターが これだけ 荒れていたらかなり痛みも
 あっただろうにって・・・早いとこオペしないとやばいみたいだけど・・・
 まっ・・・・冷たいほど現実的な病院だからね・・・今のままだったら オペは
 しないでしょうね・・・・」


「どうしてよ。」

「治療費出す人いないもん。」

「病院の風上にも置けないじゃない。」

「あのね。今 身元がわかってる人からも 治療代を踏み倒される時代なの。
 医療ミスがあると マスコミは鬼の首取ったみたいに 騒ぐけど、
 病院サイトが こういう 心無い 患者から どのくらい痛い目にあってるかは
 取り上げてくれないのよね。」

「だからって・・・・」

「じゃぁ、お姉さん 拾ってあげたついでに治療代立て替えてあげたら?
 もしかしたら 実は すんごい 資産家のおぼっちゃまかもしれないでしょ?
 その反対も 言えるけど。」

美由紀が冷めた視線を私に向けた。


「そうね・・・宝くじでも当たればね・・・それともなんだ。
 手っ取り早く 私が立て替えると見せかけて 私も 今 あんたが言った
 心無い 患者の拾い主にでもなろうかね。」

嫌味を言い返して 病室に向かう。

病室に入ると あいつが 背中を丸めて 腹痛に耐えていた。

「痛いの?」

「だ・・・大丈夫・・・・」

「・・・に見えないんだけど・・・・・どうして ドクター呼ばないんだよ。」

 そう言いながら ナースコールに手を伸ばした 私の手を彼がさえぎった。

そして、少し激しい口調で 彼が叫んだ。

「ほっといて!!」


「はいはい。ほっときますよ。私には関係ないもんね。帰るわ。せいぜい
 痛がっていればいいよ。」

あいつを一人残して私は 病室を出た。

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