あじゃあじゃラブリー
「なによ・・・それ。」

「なんとなく 彼の気持ちわかるな・・・・」

そう言いながら 彼女が差し出したのは 保険証・・・・

「これ・・・」

「彼のよ。」

「えっ・・・・だって 身元が・・・・」

「姉の子供が・・・甥っ子が 大好きだったのよ 仮面フリーター」

「えっ?」

「で・・・いろいろ あたってみたのよ」

【はぁ・・・・・あなたのような人を 人は女神と呼ぶのかも・・・・】

「彼、恋人が自分の見てる目の前で 海へ転落して いまだに 
 見つからないみたいなの。」

「自殺?」

「さぁ・・・・それは 彼と彼女のみぞ知る。」

「大出 旬・・・・本名と芸名同じだったんだ・・・・・」

「治療代 あなたが出す心配なくなったでしょ? 彼 ちゃんと
 それなりに お金も持ってる子だって・・・事務所の社長さんが言ってたわよ」

「それって・・・」

「自分で貯めたお金らしいよ・・・彼女と結婚する為に 貯めていたみたいね。」

はっ・・・とした。

もしかしたら 彼は 記憶障害なんかじゃないのかもしれない・・・・・

私の表情を読んだ あっこねえさんが 少し寂しそうに笑った。

「魂と体がばらばらなのって すごく 辛いんだよ・・・・
 私は 見た目は 男性だった・・・・なのに 宿った 魂は 女そのものだった。
 脱ぐ事のできない 肉体という 衣装が 私には重すぎた・・・・彼も そうなんじゃ ないかな・・・」

「へっ?見た目は男だけど、魂は女・・・ってこと?」

「なわけ ないでしょ?私と 彼を一緒にしない・・・」

【一緒にするなって・・・言われても 頭が余りよくないからね・・・・
 理解するのに もう少し時間が・・・・】


「あなたが そばにいてあげないとね。」

【えぇぇぇ~~~~???な・・・・な・・・なんでぃ?? 私は・・・
 ちょっと 拾ってみただけの あの・・・通りすがりの・・・】

返事に困ってあたふたしていると あっこさんの 表情が少し 冷たくなった。























 
 


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