あじゃあじゃラブリー
「期待だけでも持たせてくれてありがとう。病気も 俺にとってみたら
 リスクじゃなくて 武器だな。」

そう言って あいつが 穏やかな微笑を私に向けた。

 そこへ 瀬川が入ってきた。

私の方をちらりと見たが 何事もないような顔であいつに 骨髄移手術の日を告げた

「武器を取り上げるようで悪いが みんなフェアーで戦わないといけないぞ!!
 手術がら来月 10日に決まった。」

ドナーの私も初めて聴いた。

「来月10日ですか!!」

【これでまた 暫く仕事を休まないといけないよ・・・・
 有休は沢山あるけど。。。。ヨシキから 情報が漏れては元もこうもないし・・・】

ヨシキにだけは本当の事を話しておいた方がよさそうだ。


「ねぇ・・・」

あいつの声に我に返る。

「あっ・・・な・・・なに?」

「ぼんやりして どうしたの?」

「あ・・・ああ・・・実は 来月10日から 2週間程 出張で・・・・
 手術なのについていてあげられないから・・・・」

「なんだ。そんな事?」

「えっ?」

「大丈夫だよ。瀬川ドクターの見立ては確かみたいだから・・・・」

「えっ?俺の腕を 信用していなかったわけ?」

「あっ・・・・そういうわけじゃ・・・・」

上の空で答えながら 一番心細い時にそばにいて上げられない事が
少しむなしかった。

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