あじゃあじゃラブリー
「ヨシキ?」

私の問いかけにヨシキがビールのジョッキを見つめながら重たい口を開いた。

「普通じゃない・・・って・・・・・それは 特別な思いがあるってこと?」

「いや・・・だからさ・・・勿論 大出 旬は私がドナーである事は知らないし
 この先知らせるつもりもないよ。」

「好きだから?」

「えっ・・・・・」

思わず 返事に詰まった・・・・

「好きなんだ・・・・・」

「嫌いじゃないけど・・・・」

「嫌いじゃないけど、 彼のために仕事を休んで適合検査を受けたんだろ?」

「えっ・・・だから、それはね・・・・」

「俺が 同じ立場だったら そうしてくれた?」

「あ・・・あたりまえじゃない。」

【そう答えながらも 何故 後ろめたい?】

「無理するなって。」

 ビールを飲み干して ヨシキがビールのお代わりをした。

「む・・・無理なんて・・・・」

「俺が 浅香のこと 何年見てきたと思っているんだよ。
 お前の気がつかない 小さな癖まで お見通しなんだぜ。」

「私の今の気持ちまで お見通しっていいたいわけ?それは・・・」

「わりいけど、お見通しだよ。お前が 素直じゃなくて 認めたくないと思ってる
 奴への気持ちもね。」

ヨシキに そう言われて 返す言葉が無かった。

「浅香 素直になれよ。 素直になってさ 全力投球してみろよ。そういう
 愛し方が おまえには 似合っているよ。俺は・・・お前と どうも
 距離が近すぎたみたいだ。」

「ヨシキ・・・・」

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