私があなたであなたが私!?
紀世さんはこの"たいちゃん"の店長だ。
旦那さんを亡くなられてからというものの一人で店を切り盛りしていた。
この"たいちゃん"という店の名前も旦那さんの名前からつけたものらしい。
紀世さんと出会ったのはだいぶ前の事になる。
あたしたち兄妹が働くところを探していたところを紀世さんは助けてくれた。
使い物にもならないだろうまだ小学生の私と、中学生だった薫をあの人はここで働かせてくれたんだ。
私達の恩人であり、親のような温かい人だ。
今日はその旦那さんの命日だそうで、休みをとってお墓参りに行っている。
まだ千夏の事は話していないけれど、紀世さんならきっと許してくれるはずだ。