ホスト☆ガール
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「慧太です。
あ、ちなみに本名も小泉
慧太。
よろしくね、夏輝くん」
あたしが、潜在意識(もしくは
前世に何かあったとか)で苦手
と思われる、ギリシャ彫刻男、
慧太さんに連れて来られたのは
大きな鏡のある楽屋みたいな
部屋。
そこにある、これまた大きな
ソファーに、あたしは座らさ
れた。
「ここはね、俺のロッカー
ルーム。
トップ3は個室がもらえるの」
まあNo.1の部屋が一番
広いけどね、と笑うギリシャ
彫刻慧太。
彼は今、鏡の前に座って髪を
セット中。
あたしは、なんか居心地が
悪くてうつむいた。
「夏輝くんはさあ、
なんでホストなったの?」
慧太さんがたずねてくる。
あたしは、ソファーの前の
テーブルを見ながら言った。
「お金がなくって。
それで、姉ちゃんに相談
したら無理やり」
「夏輝くんって、本当
女の子みたいな声してる
よね」
慧太さんは、あたしの返事を
全く無視して、こう言った。
「かわいいよね、顔も」
そして、あたしの方を見て
にっこり笑う。
天使のような微笑みだ…
なのに、ゾクッとまたまたまた
寒気。
降りはらうように、あたしは
うつむく。
ふと、
慧太さんの声がふいに途切
れた。
「…?」
と、顔を上げると、目の前に
高級そうなスーツのパンツが
見える。
さらに上を見ると、
「け、慧太さん?」
「夏輝くんってさ…」
ドサッ
突然、景色が変わった。
目の前には天井、
そして慧太さんの顔……。
「すっごい俺の好み…。
しちゃわない?イケないこと」