ホスト☆ガール
秘密契約の男装ホスト
「なっちゃん」
突然、姉ちゃんが、やけに
改まった口調で言った。
な、何…?
「言わなくてもわかると
思うけど、なっちゃんは
女の子だし、秘密契約なの。
だからお客様はもちろん、
他のホストたちにも、自分
が女の子ってことは
絶対に、秘密にしなきゃ
いけないわ」
「まあ、男ばっかの職場
だしね~」
俊広さんが、おどけた調子で
言う。
「そのかわり、時給は弾むよ。
しかも、接客業って言っても
座ってるだけだから、普通の
バイトよりだいぶ楽だし」
「秘密に…できるわよね」
姉ちゃんがきく。
「できるもできないも、
やるしかないじゃない」
あたしには、他の手段はない
わけだし。
月末払いじゃなく、すぐに
お金が必要なんだもの。
男装しないといけなかろう
と、周りが男の人ばっかりで
あろうと、贅沢は言えない。
「では、これからなっちゃん
はあたしの弟ってことで!」
姉ちゃんが笑う。
「じゃあ、そろそろ時間
だから行こうか」