学園(吟)
漫画を読んでいるといつの間にか、寝てしまったようだ。

外も部屋の中も暗闇に包まれており、目が慣れていないので周りが見えない。

その中に声が聞こえてきた。

俺の部屋ではなく、吟ネエの部屋からだ。

「ん」

これは聞きたくない声だ。

とても甘くて、誘われても断れそうにないような声だ。

久々に家に男を連れ込んだのか。

何も起こらないかと思いきや、ちゃんとビッチという役割を果たすとはな。

壁越しからでも聞こえてくるんだよな。

「はあ」

やっぱり我慢できなかったんだ。

だが、妙におかしいぞ。

女の喘ぎ声なのだが、吟ネエの声ではない。

吟ネエの声も混じってるけど、謎の女よりも声は小さい。

「えーっと」

部屋から出て、吟ネエの部屋のドアをノックする。

しばらくしてから、ドアが開いた。

吟ネエはカッターシャツだけ着て、下はノーパンという何ともセクシーな格好だ。

そして、体全体に熱が帯びているようで、こっちまで熱気が伝わってくる。

股から太ももに液体が垂れてるんですけど、見ない事にしておこう。

ちなみにカッターシャツは俺のである。

「人の夢想タイムに何か用アルか?」

「声が隣まで響いてきてるんだけどさ」

中を覗いてみると、誰もいないみたいだ。

途中の予想が大当たりしたみたいである。

「まさか、AVを見てたとか?」

「最近は便利アルな。携帯で動画も見られるアル」

「はあ」

自分が少しでも落ち込んだことに悔いて落ち込んでしまう。

でも、少しだけ安心した自分もいたのは確かであった。
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