学園(吟)
「おが!」

あまりに詰めすぎたのか、お約束の喉に詰まってしまった。

「はい」

渚さんは注意するわけでもなく、静かにお茶を手渡してくれる。

ここで死ぬわけには行かず、一気にお茶を飲み干した。

「はあー、生き返るううううう」

「もう一杯、いかがですか?」

「お願いします」

空になったコップの中にルイボスティーが注ぎ込まれる。

「お好み焼きの魅力にやられちまいましたね」

「死なないでくださいね」

「こんな美味い料理に殺されるなら本望ですけどね」

今度は死にかけにならない程度にゆっくり食べる。

冷めかけても美味さは変わらず、数分後には全てを平らげる。

「ごちそーさんです!」

手を合わせて、食事終了の合図を出した。

「はい、お粗末様です」

渚さんもいつの間にか、お好み焼きを完食していた。

「渚さん、今日は吟ネエとどこに行ってたんですか?」

もっと親睦を深めるために、今日一日、何をやっていたのか聞いてみる。

「晩御飯の材料の買出しと大人の店です」

「大人の店、ね」

大人という時点で如何わしさ165%アップだ。

多分、渚さんがいなければ買う事が出来ない物を買ったんだろう。

それに、買った物も大体予想はついているし、今使用しているんだろうな。

「渚さん、災難でしたね」

「いえ、面白い形の物が沢山あって楽しめましたよ」

卑猥な形を面白いと言ってのけるところが、渚さんらしいか。

渚さんが中の事を知っているという事は、吟ネエは自分で買わずに渚さんに買わせたんだろうな。

何を言い出すか解らないので、これ以上の詳細は聞かないでおくことにしよう。
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