学園(吟)
「仕方のない奴アル」

そうして、懐から取り出したのはカップ麺。

いつの間に忍び込ましたのか。

「3分メーン、アル」

某ドラえ〇んの真似をするが、これは料理とは言わない。

「吟ネエ、俺は手作り感のある料理が食べたいんだ」

「毎日カップ麺を作っている日〇を馬鹿にしてるアルか?」

「日〇はどうだっていいんだよ。でも、嫌なのを無理矢理頼むのも、悪いな」

願い敵わず、落胆しながら席を立つ。

「気を落とさないでください。吟さんならきっとやってくれますよ」

渚さんの慰めの言葉によって、少しばかり癒される。

「渚、余計な事を言うとまた買いに行かせるアルよ」

「吟さんが欲しいのであれば、買いに行きましょう」

渚さんに恥ずかしいと思う気配がないので、大したダメージにがならない。

「吟さん、良ければお作りしてもらってもいいですか?私からもお願いします」

会釈するような感じで、軽く頭を下げる。

「渚さん」

俺のためなのか、新たな料理を取得するために自分からお願いしているのか。

吟ネエはお好み焼きを食らい終わってから、一呼吸置いた。

「最近、お前から何かと貰ってるアルからな、たまには作ってやってもいいアル」

「本当に!?」

さすがに親に頭を下げられて、断るのは気が引けるだろうな。

俺からすれば何だろうと作ってくれるのは、心底嬉しかった。

「お前達の舌が痺れるほどの物をこしらえてやるアル」

痺れるのは嫌だな。

まさか、隠し味に媚薬とか入れられるのか?

それはそれで、面白そうだが取り返しのつかないことになりそうだ。

でも、吟ネエの作ったものなら、何でも食うぞ。

渚さんに料理を教えただけあって、おかしな物が出てくるっていうのはなさそうだしな。
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