学園(吟)
それに、リストバンドを上げても無意味だったのかと思い始める。

喜んでいるように見えただけなのかもしれない。

何もかもがわからなくなった。

「泣きたい気分だ」

些細な事で涙腺が緩んでしまうなんて、自分は涙もろいな。

その時、裸の吟ネエが風呂のドアを開けた。

肩にはタオルがかかっており、手には大人の店で入手した電動こけしを持っている。

「何やってんだよ!!」

気が動転する。

吟ネエの事を考えてただけあって、裸を見た瞬間に思考回路がぶっ潰れそうだった。

俺の股間が、この木、何の木♪大きな木♪と歌い出してエレクトしてもおかしくはない。

前までは吟ネエの裸を見ても冷静に対処できてたはずなのに、ここまで来ると重症だ。

「電気代の節約アル」

絶対嘘だ。

自分が入りたい時間に入ったまでの話なんだろう。

「わかったよ!俺は出て行くから、ゆっくり入ってくれ」

だが、股間が立ち上がって立ち上がることが出来なかった。

「く」

仕方なく、何とか手で隠して立ち上がる。

「まあまあ、ゆっくりしていけアル」

頬を釣り上げながら俺の両肩を持って、風呂のお湯に肩まで浸からせた。

きっと、股間の事がバレてて、面白いから無理矢理いさせようとしている。

「おわあ!」

目の前に吟ネエの股がアップで映し出される。

この時、どんなに鼻血を出して気絶をしたかったか。

だが、漫画通りにはいかず、もろに視線の中に入ってしまう。

頭の中がぐちゃぐちゃにかき回されているみたいだ。

「すまんかったアル」

「は?」

「パイパンじゃないと興奮できないみたいアルな。悪かったアル」

誰も毛の話は一切していない。

吟ネエはしっかり育っているらしく、ちゃんとヘアーがあるわけだ。

いや、今は余計な解説などしている場合じゃない。
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